すでに多言語CMSを導入済の企業が concrete5 に乗り換える理由。グローカルマーケティングを意識したコンテンツ設計を行おう

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コンクリートファイブジャパン 菱川です。

concrete5 は多言語サイト構築機能を標準で備えていますので、concrete5 で多言語サイトを構築したいというご相談は以前からありました。これまでは日本語サイトしかなかったが、昨今のインバウンドの機運に乗り、外国語サイトも作りたい、というご依頼です。

ところが、最近増えているのは、「すでに他の CMS で多言語サイトを構築しているが、CMS を concrete5 に変更したい」というご相談です。なぜ、すでに多言語CMSを導入しているのに、他のCMSへの乗り換えが必要なのでしょうか。


私は普段から concrete5 の開発/翻訳に参加していますが、ソフトウェアの翻訳作業には大きく TranslationLocalization という2つの概念があり、この2つを合わせて Internationalization と呼びます。この概念の違いは、多言語サイトを構築したいと考えている方にも、ぜひ理解していただきたい概念です。

 

Translate とは、英語のテキストを、英語のままでは読めないので日本語に翻訳する、という作業です。あくまでもベースになるのは英語で作られたソフトウェアになります。

そして、多言語サイト構築も、多くの場合この「翻訳」という発想で考えられがちです。主言語で作成したコンテンツを、副言語に翻訳する。言語によってあまりブレのない企業のIR情報や、製品カタログなどはこの発想で大丈夫です。また、この発想で多言語サイト構築機能を設計したCMSも多い。

 

日本語の主コンテンツを、副言語に翻訳する

 

この方法の最大の問題点は、主言語に存在しないコンテンツを副言語に追加できないということです。ところが、実際に多言語サイトを運営してみて気づくのは、「海外のユーザーに必要なコンテンツが、そもそも日本語で存在しない」場合がありうるということです。

地域によって企業の外部環境は異なります。当然ですが、企業がターゲティングするユーザーの質も変化します。ターゲットとなるユーザーに合わせるのがマーケティングの基本ですが、全言語で画一されたコンテンツ設計が前提になっていると、それができないということになってしまいます。

 

最近は、この翻訳するだけのサイトをあえて多言語サイトと言い、区別してもいいのではないかと考えています。この記事でお伝えしたいのは、この多言語サイトから、多文化サイトに発想を転換しましょうというご提案です。多文化サイトに必要なのは、Translation と並ぶもう一つの概念、Localization です。

 

Localization とは、そもそも地域の文化に合わせられるような設計(ローカライズ)をしましょうということになります。ソフトウェア開発の場合は、例えば日付の表記が特定の言語に依存しないように配慮します。日本語だと2016年1月3日(日)、のように西暦を先頭に書きますが、英語では Sunday, January 3, 2016 のように西暦が最後になりますし、月名は数字で書かないのが一般的です。また、人名も英語圏の人はすぐに Firstname Lastname という入力フォームを作っては世界の人を困らせるのですが、東アジアではファミリーネームが先頭に来るのはもちろん、世界にはファミリーネームが複数ある文化など様々です。ITの分野においては、Apple や W3C が良質な資料を公開しています。

多言語サイトにおいてもこのような地域性を考慮する必要があります。地域に依存しない共通のグローバルコンテンツと、地域ごとに必要なローカルコンテンツを切り分け、それぞれの地域ごとにコンテンツのやり取りができる設計にしている必要があります。

 

グローカルサイトの概念図。主言語という考え方はなく、相互にコンテンツが結びついている

 

concrete5 では、ソフトウェアとしてのローカライズとコンテンツとしてのローカライズの両方に対応しています。

ソフトウェアとしては、タイムゾーンや言語が違う世界各地に散らばった編集者がひとつのCMSで共同作業ができるよう、ログインユーザーごとにタイムゾーンと言語が設定できるようになっています。例えば、アメリカに本社がある企業のCMSであなたが日本支社のコンテンツを更新しようとするとします。記事を公開する際、画面表示が本社基準で英語になっていて、しかもアメリカとの時差をいちいち計算しなければならないとしたら、面倒ですよね。

また、コンテンツとしても、言語と地域ごとに独立したサイトマップツリー構造を持つことができ、ボタンひとつである言語から他の言語にコンテンツを移動することができます。もちろんサイドバーやフッターなども地域に合わせて設定できますし、地域ごとの表記も管理画面からいつでも変更可能。さらにテーマやドメインも地域ごとに変更できます。

 

そして、この翻訳とローカライズの2つが合わさって初めて Internationalization、国際化となります。concrete5 はこの国際化の発想を備えた、グローカルサイトの構築に適した CMS ということができます。


ここで、なぜ「すでに他の CMS で多言語サイトを構築しているのに、CMS を concrete5 に変更したい」というご相談が増えているのか?というお話に戻りたいと思います。

 

グローバルに事業を展開される多くのお客様は、そもそも「各地域で勝手にサイトが立ち上がり、勝手にコンテンツが作られている」ということが問題意識の発端となっているようです。そこで、多言語対応 CMS を導入し、本社で統一管理しよう、という結論になります。

ところが、ここで上記のグローカルの発想がないために、各地域は日本語のコンテンツを翻訳すればいい、という発想で CMS を導入してしまいます。多言語サイト構築を謳う CMS は比較的大規模な企業を相手にしていることが多く、高機能で複雑なため CMS の操作の習熟にもコストがかかり、結局各地域からのコンテンツ発信が激減してしまうという結果になります。本当に、複数のお客様から似たようなお話を聞きますので、もっとたくさんの日本企業が悩んでいるのだろうなと思います。

 

concrete5 は、その自由度とマウス操作で完結する簡単さが特徴で、アメリカ軍によるユーザビリティテストにも合格しています。CMS を concrete5 に変えることで、地域の現場から生きたコンテンツが届けられるようになり、さらに他の地域でもそのコンテンツを活用できるようになります。

また、すべての地域を野放しにすると、そもそも各国で独自にサイトを構築していた時代に逆戻りですので、デザインテーマでトーン&マナーを統一したり、機能を権限で制限するなどしてうまく運用を回していく必要があります。

 

弊社では、このようなご相談に積極的に取り組んでいます。世界の各地域におけるクライアント企業の外部環境や、届けるべきユーザーターゲットの明確化を行い、各言語でどのようなサイト設計が必要だったのかを、お客様と議論しながら明確にしていきます。キーワードはグローカルマーケティングです。

設計ができあがったら、CMS の導入のインフラから開発まで一手にお引き受けしています。concrete5 でのローカライズ対応は、まだまだ道半ばですが、このようなお客様との議論が、新機能の開発に結びついています。ぜひご相談いただければ嬉しく思います。

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