マーケティングオートメーションはB2B専用?B2Cには使えない?MAが威力を発揮する4パターンを解説

菱川拓郎
菱川拓郎

オープンソースのマーケティングオートメーション「Mautic」の公認勉強会 Mautic Meetup Tokyo や弊社にいただくお問い合わせにて、「マーケティングオートメーションって、B2B向きの製品なんだよね?」「我が社はB2Cの領域なのだが、マーケティングオートメーションを導入できるのだろうか?」というご質問をいただくことがあります。

※ B2B:business-to-business の略。企業対企業の商取引を指して使われる用語。企業対消費者の場合をB2C (business-to-consumers) と言う。

確かに、マーケティングオートメーションはB2Bで使われることの方が圧倒的に多い製品だと思いますが、B2Cで使えないということではありません

以前の記事「マーケティングオートメーションを導入で何が変わる?の前に。変わってはいけないことをお話しします」でご紹介したように、マーケティングオートメーションを導入する前提として強調しておきたいことがあります。それは、コンテンツマーケティングにおいては、顧客の学習体験を設計し、学習投資からのリターンを最大化することが重要であるということ。そして、マーケティングオートメーションは、その学習という顧客のカスタマーエクスペリエンスを設計・運用し、効果測定が行えるツールであるということです。あくまで顧客視点に立って、効率的な学習投資からの有益なリターンを設計すれば、自ずと優良顧客になる可能性の高いリードが得られるのです(もちろん理想論ではありますが)。

このことを別の視点から指摘すれば、マーケティングオートメーションが威力を発揮するのは、学習にそれなりのコストがかかる内容であるということです。例えば、どういうものがあるでしょうか。

 

マーケティングオートメーションが威力を発揮する学習4パターン

最もわかりやすいパターンが、非常に高価な製品やサービスについての学習です。この場合、顧客の中でニーズがはっきりしており、なおかつどの分野の製品・サービスを購入すれば良いかも理解している。ただ、価格が高いのですぐに決められず、十分に吟味する必要があるというパターンになります。

企業では高価な買い物をする機会がとても豊富にありますね。複合機であったり、PCソフトウェアであったり、様々でしょう。担当者では決済できない金額で、社内稟議を通す必要があるとなれば、その必要性と購入製品の妥当性を担当者が調べ、提案書に起こす必要性が出てくるでしょう。

もちろん、個人でも高価な買い物はありますが、種類は限られますね。自動車、住宅、保険、大学といったところでしょうか。これらの分野では、十分な比較検討のために必要な情報を効率良く学習できるように設計する際に、マーケティングオートメーションで効率化できる余地があります。一方、安価なコモディティ製品では消費者の学習は瞬時に(主に価格について)行われますので、長期的にマーケティングオートメーションで管理する余地があまりなく、LPOやEFO、レコメンドの方がコスト対効果が高いでしょう。

次にわかりやすいパターンが、ニーズははっきりしているが、問題解決の手段が十分に認知されていない場合の学習です。ソリューション営業のオンライン化というとしっくりくるかもしれません。マーケティングオートメーションがまさにこれですね。マーケティングを改善することで営業案件を増やしたいというニーズに対して、どのようにマーケティングオートメーションが有効なのかを学習していただく、この記事のようなコンテンツによって、問題解決手段の有効性と、間違った導入によってせっかくの投資コストを無駄にしない方法も理解していただくことができます。

第3のパターンとして、ニーズがまだ明確化されておらず、従って問題解決の手段も見えていない場合の学習です。インサイト営業のオンライン化と言えるかもしれません。市場の次のニーズをいち早く捉え、素早く商品開発に活かすにはどうしたらいいのだろうか?というような、漠然とした問いを持つ企業に対して共感し、共に歩み、解決策を探していく姿勢を示す。雲をつかむような話に聞こえるかもしれませんが、すでにそのような新しいコミュニケーション目標の設定と検証に、マーケティングオートメーションを使おうというご相談をいただいています。

第2、第3のパターンは、B2Bの事例が圧倒的に多いかと思います。

最後に、問題解決手段は十分に任意されているが、ニーズが曖昧なものです。このパターンはB2Cに多く、例えば、就職・転職、冠婚葬祭などが当てはまります。人生において重要なことがらについての学習です。この分野で語るべき内容は、人生の幸福について、という難しい命題になりがちなので、御社の利益に貢献する、問いうわかりやすい命題のB2Bに比べて、かなり導入のハードルが高いと言えます。とはいえ、自社のサービスがそれまでの常識や人生観を変えるような大きな提案をする場合は、顧客の学習体験を最適化することに大きな意味と効果があると言えるでしょう。

MAにおける学習4パターン

 

まずはオープンソースでマーケティングオートメーション、始めてみませんか?

いかがでしょうか。B2B or B2C という視点にこだわると、マーケティングオートメーションの導入が有効かどうかはなかなか理解しにくいのですが、学習の4パターンのどれが自社の製品やサービスに当てはまるかを考えれば、比較的すんなりマーケティングオートメーションの有効性を判断できるのではないでしょうか。

とはいえ、様々なソリューションが必ずこの4パターンに当てはまるとも言えず、導入して使ってみないと実際のところは分からないというのもまた事実です。そんな時、まずはライセンス料のかからないオープンソースのマーケティングオートメーションで、自社にとってマーケティングオートメーションの導入が意味があるのか検証してみるのもいいのではないでしょうか?

弊社で concrete5 とセットでよくご提案する Mautic は、昨年バージョン1がリリースされてから急速に世界に普及し、日本でもユーザーが増えているマーケティングオートメーション製品です。そして、9月21日(水)には、Mautic という製品と世界に広がるコミュニティを立ち上げたファウンダーのデイヴィッド・ハーレーさんが来日し、東京で講演を行います! (9月20日 (火) は名古屋で)

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David Hurley, Founder of Mautic

マーケティング先進国アメリカからのビッグゲストですので、ぜひその生の声を聞いて、社内のマーケティング意識の向上に役立ててみてはいかがでしょうか。残席わずかですが、ぜひご参加をお待ちしています。

9/21 (火) Mautic Meetup Tokyo への参加お申し込みは Meetup.com のイベントページから、9/20 (水) Mautic Meetup Nagoya への参加お申し込みはこちらから。