マーケティングオートメーションを導入で何が変わる?の前に。変わってはいけないことをお話しします

菱川拓郎
菱川拓郎

コンクリートファイブジャパン 菱川です。

弊社は創業以来、企業に CMS のより効果的な導入をご提案してきましたが、今年は CMS の導入とセットでマーケティングオートメーションの導入もご提案することが増えてきました。

お客様のやりたいことをお伺いして、マーケティングオートメーションの導入が必要だと思ってご提案することもありますが、お客様から「マーケティングオートメーションってやつを使ってみたいんだけど、何が変わるのかよく分かってないので説明してくれる?」というリクエストもいただきます。

たいていの場合、「なるほど、マーケティングオートメーションを導入すると、そんなに劇的に売り上げが変わるんだね!」という説明を受けられることを期待されているのですが、残念ながらそんな魔法のツールはありません。

それは、CMS も同じですね。やらなきゃいけないことを効率化してくれるのがツールの役目。ツールを導入しても、やらなきゃいけないことは変わらないのです。

ここからは、マーケティングオートメーションって何なのか分かってないという方に、あえて導入しても変えてはいけないことをご紹介してみます。

 

なぜマーケティングオートメーションが必要とされるようになったのか?

そもそも、今まで聞いたことのない新しいツールが注目される時には、何らかの環境の変化があるものです。今日の企業が置かれている事業フィールドの変化といえば、
製品中心から顧客中心への意識変化でしょう。

近代マーケティングの父、フィリップ・コトラーは2003年に『コトラーのマーケティング・コンセプト』(東洋経済新報社)の序文で、「今日のビジネス界が直面している中心問題は、商品の不足ではなく、顧客の不足である」と述べていますが、もう10年以上も前の言葉なんですよね。「いいものを作れば売れる時代じゃない」なんて、散々言われ尽くしていると思います。

マーケティングの役割とは、(優良)顧客を生み出すこと。売ることは、顧客にとっては、体験の一部に過ぎないんですね。インターネットが普及し、購買行動に「ネットで調べる」が深く染み付いた現代では、企業はますます顧客と密にコミュニケーションする必要性に迫られています。

 

なぜコンテンツがマーケティングに必要なのか?

顧客へコンテンツを提供し、情報提供を行うには、ウェブサイトを手早く、効率的に管理できる CMS が不可欠です。CMS は現在、企業や組織にすでに普及していて、情報発信のハードルはかなり下がっている状態です。それでも、CMS を導入したはいいものの、一体何を更新していいのやら分かっていない、というお客様の話もよく聞きます。

これは、ウェブサイトの制作側が、何のためにウェブサイトを更新するのか分かっていないままデザインなどの提案をしてしまっていることも一因かもしれませんね。

またもやコトラー先生の引用で恐縮ですが(好きなんです)、コトラーは『新・マーケティング原論』(翔泳社)にて、「マーケターは、顧客のチョイス・コンテクストに合わせて学習経験を設計し、学習投資からのリターンを最大化するように努めるべきである」と指摘しています。

顧客は他ならぬ「コンテンツ」から御社の製品・サービスについて学び、その有用性について判断するのです。CMS でコンテンツを発信するのはそのためです。そして、その学習という「カスタマーエクスペリエンス」を設計・運用し、その効果測定が行えるツールこそ、マーケティングオートメーションなのだと私は理解しています。

変えてはいけないのは、顧客とのコミュニケーションを大切にすること

というわけでまとめです。マーケティングオートメーションは、自動化という言葉が入っていることと、メール配信機能が付いていることから、ついつい見込み客全員に一斉メールを送ってみたり、このツールの導入だけで売れると勘違いして、すでにあるコンテンツをこねくり回してキャンペーンを作成してしまったりする勘違いにつながることがありますが、あまり効果の高い導入方法とは言えません。

いったいどうアプローチすれば買ってくれるんだ?と頭を悩ませるより、自分が自社の製品を購入するとしたら、どのようなコンテクストで、どんなプロセスで情報収集し、決定するだろうか?と考えること。これは、マーケティングオートメーションを導入するかどうかに関わらず大切にすべきことで、マーケティングオートメーションは、その過程と結果を可視化してくれる便利なツールに過ぎません。

 

まずはオープンソースでマーケティングオートメーション、始めてみませんか?

とはいえ、著名なマーケティングオートメーションは、劇的なメリットがないとなかなか社内稟議が通らないような予算感の製品です。そんな時、まずはライセンス料のかからないオープンソースのマーケティングオートメーションで、自社にとってマーケティングオートメーションの導入が意味があるのか検証してみるのもいいのではないでしょうか?

弊社で concrete5 とセットでよくご提案する Mautic は、昨年バージョン1がリリースされてから急速に世界に普及し、日本でもユーザーが増えているマーケティングオートメーション製品です。そして、9月21日(水)には、Mautic という製品と世界に広がるコミュニティを立ち上げたファウンダーのデイヴィッド・ハーレーさんが来日し、東京で講演を行います! (9月20日 (火) は名古屋で)

 


David Hurley, Founder of Mautic

マーケティング先進国アメリカからのビッグゲストですので、ぜひその生の声を聞いて、社内のマーケティング意識の向上に役立ててみてはいかがでしょうか。残席わずかですが、ぜひご参加をお待ちしています。

9//21 (火) Mautic Meetup Tokyo への参加お申し込みは Meetup.com のイベントページから、9/20 (水) Mautic Meetup Nagoya への参加お申し込みはこちらから。